※本記事は2016年に別サイトにて掲載したものですが、
依然としてこの類の投資詐欺が已むことのない傾向であるため、
こちらに再掲載し、追記や注釈を盛り込む形で再投稿することにしました。
オプザイル当時の記事(2016.9)
こんにちは、最近『オプザイル』という言葉が流行ってますね。
Yahoo!でも記事になるほどの活況で、今にわかに問題視されている詐欺集団のことです。
どういう人かというと、
彼らは、ツイッターやフェイスブックなどのSNSで、利益を出している取引履歴をアップしたり、高級ブランド店での買い物や一流ホテルやレストランでの写真を載せてリッチな生活ぶりをアピールしています。
そして、「コンサル生」や「クライアント」と呼ぶ生徒を募集しています(そもそも正式な投資助言業の登録を行っているのかも定かではありませんが)。
ちなみに、バイナリーオプションとは、将来の為替レートが設定された目標レートを上回っているか、下回っているかを予測する金融商品です。
例えば、2時間後にドル円が現在のレートより上か下かを予想して、当たっていれば利益がでます。
ただ、彼や彼女らが本当に利益を出しているのかは疑わしく、そのほぼ100%が高額な情報商材を売りつけたり、海外業者のアフィリエイト目的であると推測できます。
このオプザイル、ITリテラシーが高いといわれる若い世代も多く騙されているようですので十分ご注意ください。
もし、すでに騙されてしまった方は消費生活センターなど(国民生活センター)にご相談下さい。
つまり、BOであたかも利益を得ているかのようにだまくらかし、販売手法も販売で儲けている輩のことです。
けしからん!という話ですが、当サイトのライターであるH.Aも騙されかかった経験があります。
僕はFXの経験者だったので、興味本位で話を一緒に聞きに行ったことがあります。その時の事をかいつまんでお話したいと思います。
オプザイル体験談
その方とお会いしたのは大阪梅田のとある喫茶店。
30代中盤の中肉中背(やや太り気味)の男で、顔も瓜実顔。どうやら腰を悪くしており、歩くときにテーブルの端をつかみながらほうほうの体で歩く様子。
そんな風貌なのでオーラなどを感じるはずもなく、最初から「怪しさ満点じゃないか」と思っていたのですが、H.Aは割りと信心深い様子でした。(仮にこの方を「腰男」とします)
僕はFX歴は10年、メタトレーダー歴も6年ほどどロングキャリアですので、それなりにインディケーターの具合やEAについては理解しているので、早速ながら様々な方向からその腰男さんに質問をしました。
K.:投資歴は?
腰男:昨秋からなので半年くらいです
K:BOの収益はどうするんですか?税金管理は?
腰男:BO仲間では常識なんですが、ネッテラーという銀行があって、これは日本のATMから現金を直接引き出せるんです。なので現金は足がつきません
K:月どのくらいの利益が?
腰男:約20万円くらいですね。もうける人は100万とかありますが、張り付く必要がありますからね~
とまあ冒頭のジャブ会話は終了。ちなみにすでに犯罪告白みたいなことをしていることに気づきました?多分本人もよくわかってないんでしょうな。
そしてここからは本題。ここからはかいつまんで流れを紹介していきます。
1.投資の心得【常勝の為の鉄板法則】なるものがメールで送られてくる
2.海外BOの口座開設をすすめられる(免許書を写メで撮らせろと言われる)
3.Metatrader(FX用のチャートソフト)を紹介される
4.Metatraderの設定方法を甲斐甲斐しく説明する(この通貨を開いて…色をこう設定して…このインディケーターを開いて…など)
5.インジケーターを元に、「ストキャスが80を上まったら売り」「20を下回ったら買い」「ここはGCだから買いになるよね」と言葉をかぶせ続けトレード手法を説明する
6.「今説明した方法が自動でシグナルがでるのがこれです。これは35万円です」とUSBメモリを提示。
画像出典:ameblo.jp
驚いた点については枚挙に暇がないのですが、例えば「免許証を写メらせてくれ、こっちで海外口座開設するから、なんと1万円キャッシュバックがあるよ」というの、まあウチらのようなアフィリエイトに片足突っ込んでいる立場ならこれが何を意味するかは分かる(向こうがリベート3万以上、キックバック1万)なわけですが、哀れなことに腰男の携帯には、免許証の写真を撮影された男女の写真が残ってて、「こんな感じで普通に皆さんから撮らせてもらってますよ」なんて腰男は言うわけです。
この時ばかりは情弱乙というよりは、もはや哀れにさえ思いました(´;ω;`)
普通に悪用されたらどうするんですかね…
それと、「4.Metatraderの設定方法を甲斐甲斐しく説明する」なんですが、EUR/USD、EUR/JPY、USD/JPY、AUD/USDなどのチャートを開いて、これを4つ縦ならべにして、ローソクの色を変えて…インディケーター開いて、パラメタをこのように設定して…とやるわけなんですが
……
テンプレート(*.tpl)開いたら終わりやないかい!!
MT4ユーザーなら当たり前なんですけど、チャート右クリックで予め用意していたテンプレファイル開いたら、普通に状況が再現できるわけです。
テンプレがあれば初期状態から上のような状態にするのに、はっきりいって1分もかかりませんが、これを20分位つかってねっとりと解説するわけです。
しかも使用インディケーターも既存(デフォルトで入っている)のものですから、目新しさもありません。
いちいち時間とってそれっぽく全く意味のないこと説明するのに意味があるんですかねえ~?
……と、言いたいところなんですが残念なことにH.A.にとってはメタトレーダーさえも初めて見る代物ですから、こういったしょーもないプロセスでさえ、高等テクニックのように見えたらしく、「すげえなにやってるのか全然わからん」状態だったというのです。
そういうわけですから、実際のトレードなんか説明するときには、とてつもない高度な技術を使っているように見えるわけですな。
少しでもトレードをかじったことがある人ならば、当たり前の事を言っているようにしか見えないのですが、早口でまくしたてられると、「うわ、これは……自力では難しいわ、ソフト必要や」ってなるらしいです。
お金、約40万円を払ってからでないと、USBの中身を見せてくれません。
くそ、払うしかないのか。。。
お支払い方法に関してですが、前払い現金手渡ししか受け付けておりません。
後払い、分割払い、通帳振り込みはできません。
そして、私は40万円払いました。
このときが俗にいう、投資家誕生の瞬間です。
あの時は、本当に迂闊だった。
こちらは実際に被害に遭われた方のブログですが、現にH.Aも、「お前がおらんかったら買ってたわ」と話してました。
まあメモリに関しては、正味で言うと、
こういうテキストとか参考にしたら、マジで普通に作れますからね(´・ω・`)
……ということで当然USB販売はスルー。ただ聴いてみると、今までの話を聞いた方のほとんどは購入しているということ。
初心者の迷える羊さん、かわいそう(´;ω;`)
問題点
ということで、正直、数十万の対価に見合ったものが販売されているか、というと、全くそんなことはありません。
間違いなく言えるのは、「対価に見合った代物ではない」ということです。
ところが問題の本質は、「情報がしょぼい、詐欺だ!」という反論のショボさです。
騙されたことにいたずらに嘆く方は、本当に、BOについてネットで少しでも調べたでしょうか、メタトレーダーについて調べようとしたでしょうか?
安易に「儲かる話」にすがりついただけではないのでしょうか?
オプザイル集団が販売する手法で大事な点は、「既存のインディケーターを使用して、そのタイミングを元に売買する」というものです。
既存のインディケーターというのは、投資家ならば常識レベルで知っているものであり、当然、実際の投資現場で活用されているものでもあります。
BOというのは「上がる、下がる」の丁半博打ですが、こういったインディケーターは本物です。ということは、そのシグナルに従うことで確率的な優位性が生まれるという点については、あながち間違っているわけではないのです。
つまり、オプザイルが販売する攻略法、オーソドックスな手法で価値が200円くらいしかないとしても、それを35万で売ろうが60万で売ろうが、それは売り手ではなく買い手の問題も大きい、ということはいえるかと思います。
ただコンサルなどは、投資顧問ですから、金融庁に登録し、認可を得る必要がありますが、まず認可を得ていないでしょうから、その面で言えば問題ではあります。
本質的な問題点
今までは主に商材についての指摘をしてきましたが、そもそもこの投資には本質的な問題点が存在しています。
それはBO(バイナリーオプション)というもの自体の利用が難しい、ということです。こちらについて、考えていきたいと思います。
まず、冒頭の会話についてですが、
K:BOの収益はどうするんですか?税金管理は?
腰男:BO仲間では常識なんですが、ネッテラーという銀行があって、これは日本のATMから現金を直接引き出せるんです。なので現金は足がつきません
これですが、向こうさんはマネロン(マネーロンダリング)の告白をしてるわけです。
……まあそれはいいとして、最近ネッテラーやスクリルが日本市場から撤退の動きを見せつつあることはご存知でしょうか?
ネッテラーもいずれ撤退するでしょうから、ATMからカード出金というのは、そう簡単にはできなくなります。
そうなるとマネロンは不可、脱税は指摘されますから、仮に利益を上げても、納税していなければ痛いしっぺ返しを食らうことになります。
ヤフーの記事にもこのような案内があります。
そもそも彼らが推奨する取引業者は、海外の無登録業者であることがほとんどです。
入金して取引した場合、まずお金が返ってこないと考えた方がいいです。取引を始める前にその業者がこれらに該当しないか確認してください。警告書の発出を行った無登録業者(金融庁HP)
BOはそのペイアウト率やアフィキャッシュバック率から、海外口座がもてはやされますが、ちゃんと入出金できるのか、というのは大きな課題として考えておく必要があるでしょう。(納税もお忘れなく!)
結びに
ということで、体験談や問題点などを見ていきましたが、まあこの問題はユーザーのリテラシーが問われるところです。
オプザイル集団も情弱をターゲットとしているのは間違いないようで、投資経験のある人は本来相手にはされないでしょう。
そもそもの海外BOを取り巻く問題もありますから、その点はしっかり留意しておいたほうがよいでしょう。
少なくとも、「楽に稼げる」わけではありません。細心の注意をお払いください。
追伸:オレオレ詐欺の犯人もBOをPR
上記事件の容疑者である男が、以下の様な書き込みをしていました。
オレオレ詐欺の実行犯もオプザイル。さああなたは何を信じるでしょうか。
2020年、あれから4年…
月日が経過するのは早く、あれから4年経過しようとしています。
昨年(2019年)ごろから再びこのUSBメモリ詐欺が取沙汰されていますが、
大学で言えば世代が交代し、これらの投資話を全く新しいものとして
ピュアな学生さんが知ることになるかと思います。
上記についてはツール自体は、もしかしたら利用価値があるのかもしれませんが、
BO(バイナリーオプション)というシステム自体が、投資を行った方に
勝たせるようにはできていません。
以前、ハイローオーストラリアの日本語規約のヤバさについて解説をしたところですが、
投資者個人の利益を最優先するのではなく、全体の投資者および会社の利益を第一に考える
取引所であるということが規約に明記されているため、
大勝ちすれば没収されるのは必定の理です。
もしも、ここまでお読みになられてもなお、
USBツールそのものに信頼を置く方がいらっしゃるのであれば、
そもそものバイナリーオプションのシステムにも関心を向けながら、
よくよく検討をしていただければと存じます。
コメント
[…] […]